【 東洋式整体 (手もみ) 】

東洋式整体ってどんなことをするの?

 

身体を揉み・押し・さすることを通して、身体の凝りや疲れを揺り解いていきます。 特に体腔内の揺れ、身体内部からの脱力・リラックスを重視しています。また、日常の生活の中でもできる身体を柔らげリラックスさせていく運動方法を考えていきます。  

 


  1、心地よさが大切  

強い力で無理に押すようなことはありません。心地いいと感じる強さで、心地いいと感じる速さで、心地いいと感じるリズムで、心地よさを優先させて行います。

 

心地いいと感じるのは、五臓六腑が力みや締め付けから解放され、身体の内部から本来の調和を取り戻しつつある状況だと考えています。心や身体に心地いいことを最優先に考えています。

 

 

2、左右上下前後のバランスを重視しています

 

身体のバランスの失調が痛みや様々な愁訴をもたらす一因と考えています。ですから右と左のバランス、上と下のバランス、前と後のバランスなど対になっているもの同士のバランスを大切に考えています。揉み・押し・さすることを通じて、対になっているもの同士のバランスの失調を回復していきます。

 

左右上下前後のバランスを日々取りながら、四季の寒暖や乾湿の変化などに身体を対応させていく。一年を周期とする季節や気候などの環境の変動に身体を対応させていくと考えています。

 

どうして身体を揉むことを重視するの?

 

それにはいくつか訳があります。

 

 

1、視覚は外へ外へと拡大されていく

 

日常生活をするうえで、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触角の五感の中でも視覚に頼る度合いが最も大きい。何事も見てその形や色を把握し、そのものの動きを観察し、それを言語化し共通認識とすることでそのものの存在が認識されていきます。

 

視覚の能力は、顕微鏡・虫眼鏡・望遠鏡・天体望遠鏡・電波望遠鏡などの補完物で拡充され、どんどん遠い世界まで拡げられていきます。或いはソナーやレーダーなどにより知ることができなかったことが、視覚化という形で知ることができるようになりました。視覚という機能だけがどんどん外に向けて拡大されていきます。視覚が外へ外へと拡散されていくと同時に、意識も外へ外へと拡散されていきます。

 

 

2、意識の方向性を変えていく

 

鍼治療や身体を揉みほぐすことが治療的意味を持つためには、外に向いた視覚や外に放たれた意識を自分の内側に向け直し、自分の体内で起こっている変化を感じとる必要があります。外を見るのではなく、内を見ることが求められます。外界を知覚するのではなく、内界(体内)を感覚することが求められます。身体を揉み・押しされるなかで今まで外に向いていた意識が、徐々に自分の身体の内側に向き直ってくる。

 

「あ~気持ちいいな・・・」

「あっ、そこが痛いな・・・どうしたんだろう・・・」

 

自分の身体に起こる様々な感覚を反芻していく中で、外に向かっていた意識が自分の内側に向き直っていく。内に向いた意識が自分の身体の中身との対話を繰り返していく。感覚の方向性が体外方向から体内方向に向き直っていく。そうすることでこの後に続く鍼治療の効果を高める狙いがあります。

 

 

3、過去の出来事の感情的な部分の浄化

 

また、身体を揉まれていると、過去の記憶が浮かび上がっては消えていくことが多々あります。過去の記憶のあるものは、まるで身体のどこかに刻み込まれていたかのように、身体を揉まれたり・擦られたりすることを契機に心に浮かんでは消えていきます。いままですっかり忘れていたことや、思いもしない過去の出来事が・・・。

 

過去の記憶にまとわりつく感情的な色彩が、身体から引き離されていくように感じる。過去の出来事から感情的な色彩が引き離されて、過去の出来事が思い出に置き変わっていく。身体から引き離されていく感情的な部分が、 カニの吹く泡のようにぷっぷっと浮かんでは弾けて消えていく。身体のみならず気分的にも軽くなったように感じてくる。視界も明るく感じる。

 

 

4、揺れるということ

 

揺らぐ・揺れるということを重視しています。揺らぎを与えるのは、筋肉や骨だけではなく五臓六腑とその間隙(すきま)。五臓六腑やその間隙を緩めていく。揉んでいるのは背中であり肩ですが、背中や肩を揉むことを通して五臓六腑とその間隙に揺らぎを与えていく。揉む部位と方向を変えつつ、左右上下前後から揺ぎを五臓六腑とその間隙に与えていく。

 

生きている人体の2/3は水分であるそうです。お腹がタップンタップン揺れる様は、海面が上下に揺れ動く様子とよく似ている。自分の身体の中に、揺れる生命の海を持っているかのようです。

 

例えば、肩を揉むことで肩を巡る経絡(気の流れるルート)の疎滞を取り除き、痛みや凝りを緩和させていくという目的ももちろんあります。筋肉の間隙を押し広げ、気が流れやすくするためです。

 

東洋医学は、五臓六腑を根本に組み立てられています。気の流れるルートである経脈は、肺経・大腸経・胃経・・・と五臓六腑の名称が付けられているのをみてもそれが見て取れます。五臓六腑とその隙間に揺らぎをかけて気血の循環を促していく。この五臓六腑と気血の循環が本来の働きを取り戻していくことが、自然治癒力と呼ばれているものを涌現させる原動力になっていると考えています。自然治癒力は、自然に治るということではなく、人間も含めた自然が本来持ち合わせている治癒力と考えています。

 

 

5、ゆれる⇒ゆるむ⇒ゆったり 

身体の内側から深くゆるんでいく

 

根を詰めて何かをしているとき、或いはストレスがかかる状況で、様々な局面で意識を集中するときには、無意識のうちに息を止め、肩や首に力が入り、腹筋に力を入れて内臓を締め付け、その動きを止めていることが多い。

 

そういう状態が恒常的に続くと常に緊張状態を強いられ心から寛ぐということができなくなっていきます。保養のため旅行に出ようが、温泉に行こうが、趣味に没頭しようが緊張状態が続いた身体を変えない限り、何処に行こうと行った先で「あ~リラックスできない」と思うだけ。悩ましいい状況を拡散させているに過ぎない。

 

肩の力や首の力などを抜くだけでは心からリラックスすることはできない。五臓六腑の力が抜けタップンタップンと脱力し、本来の動きと生気を取り戻し、気血の流れが促進され、身体の内側からゆるんでくる。身体の内側からゆったりとゆるむ感じが涌き上がってくるのが本当の寛ぎ、真のリラクゼイションだと考えています。